構造物の健全性、超小型デバイス網で迅速に評価

2011年東北地方太平洋沖地震、2016年熊本地震――。我が国では近年、大規模地震が発生している。遡れば'95年にも兵庫県南部地震があって、住宅だけでなくオフィスビルや駅舎、高速道路などが倒壊し港が崩れた姿は筆者の脳裏に焼き付いている。

震度6弱以上を観測し被害を伴った「強震観測データ」(気象庁)をみれば、この列島が揺れ続けていることを否定できない。対策は急務である。

地震発生後に構造物の健全性を迅速に判断することで、その後の余震による二次災害を回避でき、インフラ構造物や生産施設などの事業継続計画(BCP)の早期立案が可能になる。しかし従来、構造物の各所に多数設置したMEMSセンサ(超小型デバイス)を用いてその健全性を確認する方法があったものの、センサへの配線、数年毎のセンサ交換やメンテナンスを要するといった課題があったという。

大成建設はきょう、横河電機、長野日本無線、東京大学とともに、高精度で信頼性の高いMEMSセンサを用いて構造物の挙動の計測結果から、迅速に構造物の健全性を評価するモニタリングシステム「T-iAlert® Structure」を開発し、同システムの実証実験において、その有効性を確認したことを公表した。

「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」を進める新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業だという、上記4者は、長期間にわたりメンテナンス不要な高性能MEMSセンサを数箇所に設置し、配線不要な無線通信を用いて、地震発生前後に構造物に生じる振動やその変化を高精度に把握・分析することで、迅速に構造物の健全性を評価できるしくみにした。

T-iAlert® Structureは、横河電機が開発した「MEMSセンサ技術」、長野日本無線による「無線通信技術」、大成建設および東京大学担当の「航続物の健全性評価技術」によって構成されている。