鉄道災害時の迅速な情報収集をスマートドローンで

現在、鉄道設備の状況把握は専用車両の走行による点検や、徒歩巡回による目視点検などが主な手法となっており、迅速な被害状況の把握や効率的な復旧作業が求められている。そこで白羽の矢が立ったのが、自律飛行するスマートドローンだ。

近畿日本鉄道、キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)、KDDIは、2018年2月から自律飛行するスマートドローンを活用した鉄道災害時における線路・送電設備の異常検知の迅速な情報収集に関する実証実験を開始する。

この実証実験では、「4G LTE」のモバイルネットワークにつながることで広範囲かつ長距離の飛行が可能になったスマートドローンに、高精細な映像を撮影できるキヤノン製カメラを搭載し、近畿日本鉄道の車庫において様々な環境や状況を想定しての飛行や動作を検証することで、ドローンによる遠隔での効率的かつ安全な設備点検の実現を目指す。

近畿日本鉄道では、総延長距離500kmをこえる鉄道網を保有しており、特に駅間が長い区間や山間部の区間での現地に赴いての状況把握は、時間を要する他、2次災害などのリスクも想定される。それらの課題解決のために長距離自律飛行を可能とする、4G LTE対応のスマートドローンを活用すべく、今回の実証実験実施に至ったという。

キヤノンMJは、ドローンに搭載したカメラを遠隔から制御する仕組みや長時間の飛行を実現したドローンを提供することで、災害時の鉄道点検業務に求められる、正確かつ広範囲な映像取得を目指す。同社は今後も、災害対策や架線・インフラ点検に限らず、ドローンを活用した業種別のソリューションを開発し、企業・社会の課題解決に貢献していく考え。

KDDIは、ドローンのLTE通信モジュールと運航管理システムを提供し、4G LTE通信ネットワークを活用した長距離区間の自律飛行を目指す。また、実証実験は2017年10月に提供開始した「KDDI IoT クラウド ドローンパッケージ」の通信モジュール、および運航管理システムを活用した第一号の事例となるという。

今後も3社は、新しい付加価値を追加することで各社の事業発展を目指す計画。