業界シェア3位、新生Extreme Networksの成長戦略

Extreme Networks, Inc.(以下、Extreme Networks)は同社社長兼最高経営責任者(CEO)のEd Meyercord氏の来日に伴い、11月16日に都内で「Extreme Networks CEOブリーフィング」を開催した。同社は2016年にZebra Technologiesの無線LAN事業を、2017年にはAvayaのネットワーク事業を買収し、現在はBrocade Communications Systemsのデータセンターネットワーク事業を傘下に置く手続きを進めている。会見では一連の買収戦略を経て、新たなスタートを切る「新生Extreme Networks」の成長戦略について説明を行った。

変わりゆく世界、進化するビジネス環境

ビジネス環境は変化しつつある。モバイル接続デバイスは2020年までに116億台に増え、ひと月のモバイルデータトラフィックは2021年には49エクサバイトにまで拡大、新しい製品の95%がIoT対応になると言われている。こうした進化するビジネス環境下において、Extreme Networksが提案するサービスついてMeyercord氏が次のように語った。

「冷蔵庫、電球、水道でさえもネットワークに接続される時代が近い将来やってくる。ただし、これらを管理するために十分な知識を持つ専門家が足りないことが課題にあります。そこに我々は注力しています。よりよいソリューションとネットワーキングエクスピリエンスを提供できるお手伝いをしたいのです。顧客の皆さまのビジネスの成果を上げるため、可視化し、トラフィックの状態を理解する。これによって、ソーシャルなエンゲージメントを可能にします。さまざまなビジネス条件がありますが、ビジネスとソリューションを結び付けるために、ITを駆使し、セキュリティを確保しながら、最終的により高品質なエクスピリエンスをユーザーに提供できるようにお手伝いしていきます。」

Extreme Networksは米カリフョルニア、サンノゼを本社に置き、1996年に設立以降、グローバルでネットワーク業界のパイオニアとして発展してきた。業界初のGig-E/10 Gi-Eスイッチ発表事例をはじめ、膨大な数の特許技術を持ち、ソフトウェアからワイヤレスエッジ、ネットワーク、クラウドまで網羅していることから、立ち位置が有利であることが最大の特徴にある。  
Extreme Networks Meyercord氏

「業界をリードする企業の多くは投資をテクノロジーに投資し、その投資をさらに続けていく傾向があることから、ニーズに対して応えることができる企業として、存在価値を高めています。」(Meyercord氏)

Extreme Networks Meyercord氏
エンタープライズ向けエンド・トゥ・エンドのネットワークソリューションを提供する企業として現在、シェア3位に位置する。2013年は13位、2014年は8位、2016年は5位だったが、Zebra 、Avaya、Brocadeの事業買収によって、業界シェア1位のCISCO、2位のHP Enterpriseに次ぐ3位のポジションを確立した。

「強力な競合他社がある中で我々は唯一、ネットワークソリューションを提供できます。包括的なソリューションをエンタープライズ向けに提供している会社は他にいない。加えて、テニクカルサポート体制も徹底しています。電話をピックアップした人が最後まで責任をもって対応する会社はわが社だけ。ネットワーク環境が複雑になっているからこそ、常にお客様の後ろでサポートしているというスタンスを保っているのです。ベストなネットワークソリューションを提供しています。」(Meyercord氏)

Extreme Networks は2017年のGartner Magic Quadrant for Wired and Wireless LAN Access Infrastructure において3年連続でポジションを向上し、ビジョナリーカテゴリの中では、実行能力とビジョンの適正性のいずれの軸においても最高のポジションを獲得した。レビューした人の「100%」が「Extreme Networksを他の人に薦める」と回答し、22社中レビュー数がもっとも多く、かつ最高評価を獲得した。

ヘルスケア、官公庁・自治体、教育、ホテル・商業施設、製造、運輸・物流、小売、サービス・プロバイダ分野と多岐にわたる業界でFortune50のうち半分以上が採用し、業績は昨年比72%の伸びで成長していることにも注目したい。「Extreme Networksの飛躍は私がここ数年見た中でもっとも顕著で目覚ましいもののひとつだ」(NETWORK WORLD)、「Extreme Networksは買収したAvayaのファブリック技術の統合に見事な形で成功した」(Wirednot)、「ここ数年におけるExtreme Networksの買収戦略はネットワーク業界の雄であるCiscoに対しての強力な競合ベンダーとしての地位確立に貢献するだろう」(CRN)などとメディアからの評価も高い。

Meyercord氏は「Extreme Networksの強みはシンプルでセキュア、インテリジェントであること」とまとめ、同社初のグローバルカスタマーイベントが来年4月をアリゾナ州スコッツデールで開催することをアナウンスした。


テニクノロジーに投資し続ける目的

続いて、Extreme Networksのエンジニアプロダクト・マネジメント担当VPのNabil Bukhari氏も登壇し、テクノロジーの観点からみたソリューションの提供について次のように語った。

「イーサネットケーブルを壁から引っ張り出していた状況から、WiFiの時代に移り変わり、モバイルネットワークがオフィス、キャンパス、家庭、スーパーなどあらゆる場所で提供されています。こうした時代に、Extreme Networksは、より多くのお客様に多くの場所で提供することを目的に、成長戦略を描いています。買収を続けている目的は技術に投資し続けているからです。これが成長戦略の一番重要なポイントにあります。最善の技術をさまざまなところから集め、提供してほしいとユーザーは求めているからです。もちろん、注目している技術は市場が求めている技術です。技術のクオリティに妥協を許しません。」

さらに、成長戦略の注力ポイントについて詳細説明した。エンタープライズキャンパスやアジャイルデータセンター市場を主なターゲットに、市場トレンドであるモビリティやWLAN、IoT、セキュアネットワーク、マルチクラウド、アナリテック、オートメーション、ファブリック、ユニファイドマネジメント分野において求められる技術に投資し、アーキテクチャと生産性のシナジー効果を生み出すことを目指すという。  
Nabil Bukhari氏  

また日本法人の執行役員社長に大野欽司(おおの・きんじ)氏が2017年10月28日付で就任したことも発表した。大野氏はこれまで25年以上にわたり、通信事業者、システムインテグレーター、通信機器ベンダーを含むICT業界での幅広い経験と実績によりキャリアを積んできた人物である。直近では、ブロケードコミュニケーションシステムズの営業本部長として、データセンタースイッチ、ルーター、アナリティクス事業部門の事業を統括・指揮し、同社のデータセンターネットワークビジネスの成長に大きく貢献した。今後はZebraの無線LAN事業、Avayaのネットワーク事業、Brocadeのデータセンター・ネットワーク事業など同社が買収した各種事業の融合により誕生した新生Extreme Networksの国内での事業展開をさらに加速していくという。

大野氏は「日本の市場戦略において、大きな夢は大手が牛耳るネットワーク業界に一石を投じて、揺るがし、パートナーやお客様に価値を提供するネットワークベンダーになっていくことです」と力強い言葉で語った。  
大野欽司(おおの・きんじ)氏  

大野氏のリーダーシップのもと、ワイヤレスアクセスから、キャンパス、データセンターまで網羅するエンド・トゥ・エンドのソフトウェアドリブンなネットワークソリューションの国内展開を推進し、さまざまな業界でデジタル・トランスフォーメーションの取り組みを支援していく。