中部電力とデンソー、各家庭の電力需要を自動制御するシステムを開発

電気はガスや灯油と異なり、貯めることが難しいため、電力会社は瞬時瞬時で需要と一致させるように、発電の量を調整してバランスを取っている。そのため、節電を実施するためには1日全体で電気の使用量を減らすだけでなく、使用する時間帯を意識して電気の需要がピーク時間帯に集中しないようにすることが重要となる。

中部電力とデンソーは、HEMS(Home Energy Management System)を活用してエコキュートや全館空調を自動制御することで、地域の電力の需要と供給のバランスに応じて家庭の電力需要を調整するエネルギーマネジメントシステムを共同開発した。

このシステムは、中部電力の需要調整システムとデンソーのHEMS制御用システムを連係することで、夏場の電力使用量が多い時間帯など中部電力が電力需要を抑えたい場合に、ユーザーの利便性や快適性を損なわず、家庭の電力需要の自動制御を可能とするもの。

具体的には、中部電力から電力需要調整の依頼がデンソーのHEMS制御用システムに入り、各家庭に設置されたHEMSからの指令によりエコキュートや全館空調を自動で制御し、家庭の電力需要を調整する。

また、このシステムの開発にあわせて、電力需要の調整による湯沸かしの停止によって湯切れすることがないよう、残湯量や日々の使用状況に応じて電力需要調整の時間を外しながら、湯沸かし時間を変更する制御を共同開発し、導入した新型エコキュートをデンソーから販売開始した。

中部電力は、これまでご家庭の電力需要を調整する取り組みとして、需要抑制を促す実証試験や電力使用量が多い時間帯に外出を促すサービスを実施していますが、本システムのように家庭内に設置されている機器を自動で制御する取り組みは初めてとなる。

今回のシステム開発は、両社が豊田市で検討している地域の電力需給を調整するバーチャルパワープラントの取り組みの一つ。2018年1月からは、豊田市を含む周辺6市において、このシステムが生活に与える影響や電力需要の調整実績などを検証する実証試験を開始する。