騒がしい駅や、事故・災害現場でもあなたの声だけが届く

人間の耳には指向性がある。大勢が雑談する中でも自分とか興味津々の人や物とかの名前が出ると聞き分けられる、カクテルパーティー効果として知られているそれは、音源の位置などを基にした脳の働きによるものだとされる。けれど、テレビ会議などで使う一般的なマイクに、そんな機能はない。

そこで一昨年、OKIは、複数の指向性マイクを収音したいエリアの周囲に配置することで、エリア内の音のみ収音できる「エリア収音システム」を開発。会議室やオフィスのように多くの人が同時に話している環境であっても、特定のエリア内で話している人の声だけをクリアに収音することを可能にした。そしてきょう、この技術を搭載した「エリア収音ハンドセット」を開発したことを発表し、同ハンドセットの評価機の提供を始めた。

今回発表のハンドセットは、「収音マイクの配置に独自性のある同社開発の小型モジュール(特許出願中)により、さまざまな分野で利用可能」、「ハウリングを完全抑制」、「周囲にいる関係者の会話を拾わないため情報漏洩防止に効果的」、「従来のハンドセットと同一インターフェースであるため、接続してそのまま利用が可能」といった特長を備えている。

これまで、現場からの連絡が周囲の騒音でかき消されてしまい、本部に正確な情報を伝えられず誤った情報となり、的確な判断ができず、結果として対応に遅れが出てしまう等の問題があった。ために検討されたノイズキャンセリング技術では、通話品質の確保、導入コストなどに課題があった。事故や災害現場、工事現場、騒音が大きい道路・鉄道といった社会インフラや製造現場など、厳しい環境下での正確な情報伝達手段となる――。商品販売は'18年度を予定している。

「エリア収音ハンドセット」は、今週水曜日から幕張メッセで開催の「第5回鉄道技術展2017」OKIブースにて披露される。