家族に公表が許されたものだけでも直近の約10年間で7件。死亡事故も発生している、玩具による気道閉塞事故について、子どもは何でも口に入れて「学習」しているなどという、論説を鵜呑みにしている場合ではないだろう。
生後9か月の男児が兄姉の玩具(直径約10㎜)を喉に詰まらせて死亡した事故について、事故等原因調査の申出を受けた。消費者安全調査委員会が、消費者安全法第23条第1項の規定に基づく報告書をまとめた。調査の詳細等は消費者庁の「玩具による乳幼児の気道閉塞事故」サイトで確認できる。
広く注意喚起されているにもかかわらず、事故がなくならない玩具による乳幼児の気道閉塞事故の重篤性に鑑み、同委員会は、一般の人にも気道閉塞を正しくわかりやすく伝える必要性から――閉塞に至る過程やメカニズムを科学的かつリアルに映像表現することが最も効果的であるとして――気道閉塞シミュレーション業務を、武蔵野赤十字病院と明治に共同委託した。
そして同業務を受託した両者はきょう、共同開発した世界初の4次元嚥下シミュレータ「Swallow Vision®」を活用して、気道閉塞に至るメカニズムの解析および事故防止に必要な配慮を普及啓発する映像制作を行ったことを発表した。直接見ることやヒトでの実験ができない気道閉塞事故をコンピュータ上で可視化すること、および玩具の形・性状・サイズを変えた場合の、喉での動きや気道閉塞の起こりやすさを解析し、玩具による気道閉塞のメカニズム解明に資するという。
9カ月児の数理モデルと48種の玩具のそれを統合して仮想実験した。結果、これまで不可能であった窒息の新分類――咽いん頭とう閉塞型と喉こう頭とう閉塞型が考案できた。気道閉塞を起こしやすい玩具サイズについて、5~10mmでは喉頭閉塞型を、14~20mmでは咽頭閉塞型を引き起こすことが推定(数値は目安。玩具形状によっても異なる)されたとのことだ。