被介助者と介助者双方の負担を軽減する「車いす型ロボット」

健康志向の高まりを受け、今後高い成長が期待される医療・介護、健康、福祉などの生活支援関連分野では、日本企業が強みを有するロボット技術の活用が求められている。デンマークで実証実験した結果を基に開発された電動車いす型ロボットが登場した。

これまで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、導入地域のニーズや事業により得られた成果をフィードバックし、さらなる技術水準向上、海外展開や市場化の促進などを図ることを目的に、ロボット分野の国際研究開発・実証事業を実施してきた。

NEDO事業の成果を基に、テムザックはスムーズな移乗を可能にする次世代スマートモビリティとして、電動車いす型ロボット「RODEM」を開発し、販売を開始した。RODEMは、生活の質(QOL)を向上させる以下の3つの機能を特徴とし、ユーザーの質の高い生活を実現するための自立・移動を支援する。

RDOEMは、Bluetoothによるスマートフォン連携機能を搭載し、スマートフォンからの遠隔操作が可能。また、ベッドや椅子などの高さと座面の高さを揃えることができ、そのまま後ろから移乗することで、簡単に乗り移れる。テムザックによると、座面を一番高くすれば歩行者とほぼ同じ目線での移動や会話が可能になるという。さらに、最小回転半径で旋回ができ、エレベーターやトイレなど狭い空間でも反転することが可能だ。

RDOEMの販売に先立ち、テムザックでは実証事業を実施。日本同様に少子高齢化が進み、医療や介護などにかかる費用が国家財政の多くを占めるデンマークにおいて、介護・福祉従事者の負担軽減や、車いすの利用者の自立支援に関する検証を行ってきた。その成果として、RODEMでは前方から「座る」形式の一般的な車いすとは異なり、後ろから「座る」形式を特徴とし、体の向きを変えることなくベッドや椅子、トイレなどへの移乗が可能。ユーザーの背中や腰にかかっていた負担の大幅な軽減が期待できる特徴を備えている。