禅の里を自動運転EVで散策へ

鎌倉中期の寛元2年、日本曹洞宗の開祖、道元禅師が越前の地に出家道場を開創した。大本山永平寺には七堂伽藍を中心に大小70余棟の殿堂楼閣が建ち並び、樹齢700年の大杉らが静寂をつくり、今もつねに2百余名の修行僧が日夜修行に励んでいる。

境内は約10万坪、参禅の道場として誠にふさわしい霊域だという。禅の里をまもる福井県と永平寺町、パナソニックは、鉄路から生まれ変わった門前の「永平寺参ろーど」を活用して、自動運転車両走行の実証実験を2019年3月末日まで共同で実施する。

同町が京福電鉄の永平寺線跡地を遊歩道として整備した、「永平寺参ろーど」は現在、国と福井県の支援下で自動走行実証実験用のオープンラボとして整備中。産総研の「専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証端末交通システムの実証評価地域」の1つにも選定されているという。

このたびの実証実験では、自動運転技術の検証を目的に、自動運転EVコミューターを「永平寺参ろーど」(約6km)の一部で走行させて技術課題を確認するという。パナソニックは、これまで社内の車両試験場(神奈川県横浜市)や京阪奈地区構内(京都府相楽郡精華町)、門真地区構内(大阪府門真市)で自動運転技術を磨いてきた。そして今回初めて、公道に準じる環境で自動運転走行システムの検証と、自動運転EVコミューターの実用化に向けた有効活用の検証も行う。

・ 様々な環境(近接に樹木や家屋あり、高架下など)における自車位置測位やカメラ検知などの動作検証
・ 障害物の回避や道路脇からの歩行者の侵入に対する適切な制動検証
・ クラウドサーバーを使用した車両管制システムの動作検証など

次年度以降は、「永平寺参ろーど」全線でEVコミューターを走行させる。これにより、自動運転技術およびモビリティサービスの実用化に向けた検証を行う構えだ。