ネットで8K超高精細映像が見られそう――

2020年は大きな転機である。この年をめどに様々な技術開発がいま進められている。自動運転、つながるクルマの基盤ともなる第5世代移動通信方式(5G)はその最たるもので、われわれ一般人による東京五輪・パラリンピックの楽しみ方さえ変えそうだ。

家電量販店で4Kテレビを前に悩んでいる人の脳裏には「8K」という言葉が浮かぶ。若い人ならそもそもテレビでなく、スマホやタブレットでTOKYO2020やFIFAワールドカップを8K視聴できるだろうかと、デバイスや通信網の進化度合いを気にするかもしれない。個人の趣味嗜好、選択の自由を解放する技術開発に、研究者やエンジニアたちが日夜奮闘している。

次世代の超高精細映像である8K映像の伝送には、最適な圧縮技術を用いたとしても、1チャンネル当たり平均80Mbpsのデータレートが必要となるため、LTEによる伝送では、伝送速度の観点から安定して複数チャンネルの8K映像伝送を実現することは困難だったという。NTTドコモと、シャープは、今月1日ドコモR&Dセンタにて、5Gを介した8K映像の12チャンネルMMT(MPEG Media Transport:ISO/IEC 23008-1)伝送の共同実験に成功した。

実験では、5G無線装置における無線レイヤの誤り訂正制御に加え、誤り訂正制御を実装した8K映像受信装置を用いて受信データのエラーを検知・訂正することで、無線区間の伝送誤りの影響を大幅に低減した乱れの少ない映像を再現し、8Kディスプレイに表示することができたという。これにより、建物や樹木、地形の起伏など障害物や反射物の影響を絶えず受けて伝搬する電波について、無線区間の伝送誤りによる受信データの抜けやエラーの発生――映像伝送品質の低下を防げることが明らかになった。

今回の成果は今週末、「見えてきた、"ちょっと先"の未来~5Gが創る未来のライフスタイル~」展にて披露される。