現在、JALはマーケティングをはじめとして、様々な領域でAIを活用したデータ分析の高度化を推進している。しかし、高度な分析スキルを有するデータサイエンティストの不足や、JALが保有する膨大なデータをどのように活用するかが課題となっていた。今回、これらの課題を解決するため、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の1つである「予測分析自動化技術」を活用した実証実験を共同で実施し、技術の有効性を確認した。
今回の取り組みでは、JALマイレージバンク会員を対象に、JALが運営する航空券予約サイトでのWebアクセスログをはじめ、個人が特定できない状態での会員情報や搭乗履歴などの多様かつ大規模なデータを使用。航空券を購入するにあたり、会員がWeb上でどのような行動をするかについて、予測分析自動化技術で分析に有効なデータ項目である「特徴量」の推測と「予測モデル」の自動構築の可否を実証実験で検証した。
その結果、一般的に分析に時間を要する大量のログデータから、これまで人間が気付かなかったような時間軸を考慮したページ閲覧行動や特定のクレジットカードの利用回数などの特徴的な顧客行動、すなわち特徴量が数時間程度で発見できたという。また、予測モデルに関しては、経験豊富なデータサイエンティストが設計したモデルと同程度の精度が得られることを確認した。
これにより、会員の購買行動を短時間で把握でき、より適切なタイミングでのキャンペーンを通知できるなどの情報提供が可能になるという。また、短時間で予測モデルが構築できることから、現行よりも数多くの施策を立案・実施できるとJALは説明する。
今回活用した予測分析自動化技術は、機体整備など、マーケティング以外のデータからも、業務や分析の事前知識なしに特徴量を自動で設計・発見できる可能性があるとの考えから、様々な業務での予測モデルの高速化が期待できるという。