モバイル通信の高度化に向けた新技術を採用、ソフトバンク

ソフトバンクは、時刻情報をエリアが隣接する複数の基地局制御装置「BBU」に配信して基地局間の時刻情報の同期を実現するPTPシステムを構築し、2017年10月までに都市部のモバイルネットワークの一部に導入し、稼動を開始した。

モバイルネットワークの高度化には、基地局間での高精度な時刻情報の同期が不可欠となっている。PTPは、GPSなどの衛星測位システムから受信した時刻情報を元に、高精度の時刻同期を実現するプロトコル。

今回、受信した時刻情報をLANネットワークを介して加入者交換局傘下の複数のBBUに一斉に配信することで時刻情報の同期を取ることができ、異なるBBUの傘下にある基地局間でも複数の異なる周波数の電波を束ねて単一の通信回線としてデータの送受信を行う「キャリアアグリゲーション」が可能になり、モバイルネットワーク品質の改善が期待できる。

これまで、モバイルネットワークでの時刻同期には、基地局にGPSアンテナを設置してGPS衛星から配信される時刻情報を利用する方法が採られていた。GPSアンテナによる時刻情報の受信には、GPSアンテナのコストや設置工事コスト、基地局の工期日数への影響などの課題があった。

今回のPTPシステムの導入によって、高精度な時刻同期が可能になるとともに、ネットワークの設置コストの大幅な削減と工期の短縮も期待できる。PTPシステムは、第5世代移動通信システム(5G)でも、設備コストの削減や工期の短縮を実現できる技術として注目されている。

ソフトバンクはPTPシステムの構築も含め、最新技術の導入によるネットワークのさらなる効率化を図り、今後増大するトラフィックに対応する信頼性の高いモバイルネットワークの実現を目指す。