良識あるデザイナーや作家は常に「新規性」を気遣っている。ものまね、コピーが御法度であることは言うまでもないが、意図せず類似してしまうこともある。物語なら同じテーマやモチーフでも切り口や語り口で新しさを訴えられるが、絵や画像で「類似性」を排除することはいっそう難しい。
知的財産権や著作権の侵害は、ただ作者のみならず、それを使った企業とブランドにも大きなダメージを与える。
企業活動において商標や意匠の類似性を争う話は跡を絶たない。が、直線や曲線による線画の類似性に対する判断は、これまで容易でなかった。
たとえば商標調査では、図形分類等の専門知識を必要とし、ユーザーの負担や検索対象漏れリスクの発生など、多くの課題があったという。東芝デジタルソリューションズは、画像を直接検索に用い、登録された画像の中から、類似画像を検索し抽出できる「類似画像検索技術」を開発。従来難しいとされてきた複雑な背景に埋め込まれた画像の識別と、AI(人工知能)を用いた類似性の判断を可能にし、類似画像検索を実現すると発表した。
広く線画を対象にする同技術は、企業や商品の商標登録やロゴ、マーク、エンブレム等のデザインの際、類似の有無を事前調査するなどのほかに、デザイン画やマンガなどの意匠や著作物に関連したさまざまな分野での活用が考えられる。
画像の直接検索により、商標調査業務の負担や、類似発見漏れの発生を抑制でき、複雑な背景に埋め込まれた部分的な画像も検出できるため、より精度の高い検索が可能になる。過去の類似判断結果で得られた情報をAIに学習させることで、類似判定の精度を向上させることもできるという。
技術を「特許情報フェア&コンファレンス」に出展する同社は、長年培ってきた画像処理およびAI技術を、今後も大阪府立大学との共同研究成果と融合し、同技術でAIによる「気付き」を与え、調査業務に関わる人の判断を支援していく構えだ。