船舶の運航サポート力をさらに強化

IoTは今、さまざま分野に広がりつつある。革新的なICTの活用では、作業の効率化や生産性の向上といった経済もしくは人の営みに目が向きがちだが、生命の安全、自然環境の保全など、より根源的な効果も期待される。

昨今、燃油の高騰や海上輸送の低迷により航海の経済性が追求される。一方でパリ協定の成立や、国際海事機関における様々な環境規制強化等、地球環境保全への要請が高まっている。業界にて、オープンイノベーションにより"世界最高水準の安全運航と環境負荷低減"の実現を目指すという。「次世代型船舶管理支援システム」の共同開発を進めている、商船三井と三井造船はきょう、このシステムのベースとなる運航船のデータ収集・監視機能について、現在60隻以上に搭載している運航モニタリングシステム「Fleet Monitor」の機能を強化すると発表した。

インターネットを介して、船内と陸上オフィスで就航船の運航情報を共有しつつ、運航管理を行う船陸統合型の情報インフラであり、船舶で収集した実際の運航情報を即時シェアして安全運航支援を可能としている。現行システムに、「異常値表示の明確化」、「燃料油・潤滑油消費量表示機能の強化」、 「機器異常の一覧表示」といった特長が新たに備わる。

船上で発生した機器類の異常値をビジュアルに識別することで、トラブルを未然に防ぐ。本船の運航状況と燃料油等の消費量の相関関係を表示し、最適な燃料油潤滑油の消費により環境負荷低減を目指す。船上の機器類に発生した異常のうち、過去12時間分を一覧表示することで、確実に素早く本船状況を把握し、障害を防止するといったことが新システムのリリース前に実現される。

今回の強化により、両社は、陸上からの運航サポートを一層深化させ、安全性の向上に加えて、燃料等の消費量節減を通じた環境負荷低減にも努めるという。