近年、クラウドサービスの進展やビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などの利用拡大により、データセンターの消費エネルギーが急増。CO2排出量の削減や省エネルギー化の必要性が高まっている。
NTTデータによると、これまでのデータセンターでは、システム運用などのICT機器の領域と、電源や空調などの設備(ファシリティ)の領域がそれぞれ独立して個別に最適な保守・運用を実施しているため、データセンター内のエアフロー阻害などに伴うホットスポット(熱溜り)の発生や過冷却によるエネルギー消費量の増加など非効率な運用となっている例が少なくなかったという。
これらの課題解決のため、今回の実証実験ではデータセンターの空調運転制御に着目し、ICT機器から設備までを含めた連携制御による全体最適化を実現することで、品質向上やコスト低減(エネルギー・運用コスト)を図り、データセンタービジネスの競争力強化と環境負荷低減を目指す。
今回の実証実験では、データセンター内の温度センサーだけでなく、ICT機器もIoTセンサーとして活用し、機器自体の温度やその他ビッグデータ(CPU使用率、電力使用量など)を取得。その情報をAI技術で解析し、データセンターの空調最適制御の実用化を検証する。
NTTデータは、自社データセンターで各社のソリューションを活用しながら実証実験環境を構築し、自社データセンターの構築運用経験で得られたファシリティとIT運用の知見・ノウハウを各社に提供し、本実証実験のプロジェクトマネジメントを実施する。NTTファシリティーズは、データセンターの空調設備構築、運用に関する知見、ノウハウを提供する。またAI技術によりデータセンター空調機の最適制御を行う「SmartDASH」を「インテルデータセンター・マネージャー」と連携し、空調制御の実用化を検証する。
また、インテルは、ICT機器の消費電力、温度データを収集可能な「インテル データセンター・マネージャーSDK」の提供と、それに伴うインテル Xeonプロセッサー製品群で利用可能な「インテルノード・マネージャー」を含むテクニカルサポートを提供する。Future Facilitiesは、データセンターの温熱環境をシミュレーションするための3次元熱・気流解析技術を活用したデータセンター運用サービス「6sigmaDCX」を提供する。4社は今後、データセンターの完全運用自動化に向けた取り組みを推進する予定。