血管内治療を支援する、画像処理技術群を導入

ノーベル賞の季節に思い出すのはかの有名作家ではなく、サラリーマンの星である田中耕一氏だ。「1滴の血液から病気の早期発見ができる」はずだと京都で日夜研究に励んでおられる。昨今、世間では、下肢静脈瘤に悩む女性が少なくない。

生活習慣を改善したり、医療用弾性ストッキングを着用したりして、症状を緩和させることもあるが、筆者の身内は血管内にカテーテルを入れてレーザー光を照射する治療を受けた。その際使われたのが、狭心症や心筋梗塞などの検査・治療でも用いられる血管撮影システム(X線撮影装置)だ。

血管内治療(インターベンション)は、メスを入れる外科治療と比較した侵襲性の低さから近年期待が高まっていて、治療デバイスの微小化や高度化、血管造影剤の低減、手技の確立が進んでいる。このような動向にともない、様々なデバイスを用いた多様な部位の治療や検査に対応できる操作性を備えた低線量かつ高画質な血管撮影装置が求められているという。

島津製作所は、患者と術者の負担を軽減し、心臓だけでなく頭部や腹部、下肢などの領域もトータルに支援することを軸に開発を進めた結果、きょう、「Trinias」シリーズ「unity edition」計10モデルを発売する。

新モデルは、血管造影後の画像から造影前の骨や臓器の像を減算処理して血管のみの像を得るデジタル・サブトラクション血管造影法において、観察部位の動きによって発生するアーチファクト(虚像)を3次元で自動補正する新技術「Flex-APS」を使用可能にしたほか、一度の造影で撮像した画像をつなぎ合わせて下肢全体を表示する「SCORE Chase」を新たに利用できるようなった。「低線量とデバイスの視認性を両立する様々なリアルタイム画像処理技術」により、治療の安全性向上や治療時間の短縮が期待できるという。

「多機能カテーテルテーブルとの連携やラインナップの拡充」といった特長も備えている。