杭施工管理、業務を厳格にし時間は7割削減

建物の土台をつくる工事。なかでも既製コンクリートを用いた基礎杭工事において、施工データの管理は、確実な品質管理の実施と施工記録の保存を要するため、施工状況の確認から記録作成・保存に至るまでの過程で多くの時間を費やしている。

横浜市の分譲マンションでの不正をきっかけに、国土交通省が「基礎ぐい工事の適正な施工を確保するために講ずべき措置(告示)」を定めた。昨今、これまで以上に杭施工に係るデータ管理の厳格化が求められていて、より信頼性の高い施工データ管理が必要になっているという。
大成建設はきょう、ICT(情報通信技術)を活用した既製コンクリート杭施工データ総合管理システム「T-Pile Recorder」を開発したと発表した。

杭の位置や鉛直性などの実測値のほか、施工時の掘削機電流値などの計測データおよび工事写真など各種データの保存と管理書類の作成を自動化したという。同システムは、杭打ち機に装備された既存計測装置を利用し、通信機能など必須機能を外付けすることににより、全体のしくみを構築している。

電流値や掘削深度などの計測データは、自動的にクラウドへ送信・保存後、杭番号別に分類・ひも付けされ、帳票台帳が作成されるなど、一連の作業が人手を介することなく実施されるため、施工管理データの信頼性の確保、施工管理の厳格化が可能――。杭1本あたりに係る現場作業から書類作成までの業務時間も従来の3割程度に削減され、施工管理業務の効率化、省力化が図れる。

杭芯位置などの実測値や工事写真はスマートデバイスにより、クラウドに送信・保存後、クラウドでは送信データに基づき上記計測データと同様、杭番号別に自動で管理書類や帳票台帳を作成・保存する。各種データを端末経由で関係者間にて即時共有し、確認できる。

必要な機能だけを外付け追加すればよく、高額装置の導入・改造費を不要とし、低コストで設置・運用が可能だという。