日立、AIを活用し製造現場の熟練者ノウハウをデジタル化

日立製作所(以下、日立)は、生産ラインのデータや熟練者の作業履歴など、AI(人工知能)を活用して解析し、自動的に最適な生産計画を立案する「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」を提供開始した。

Hitachi AI Technology/計画最適化サービスは、鉄道の運行管理などで実績のある数理最適化技術とAIを連携した日立独自の制約プログラミングを適用して、最適解の高速抽出の他、熟練者による生産計画を再現可能とするサービス。

設備や納期、コストといった複雑な制約条件に加え、膨大な熟練者の計画履歴から機械学習を使って熟練者独自の計画パターンを抽出・組み合わせて解析し、多品種・多工程の製品をどの順番で生産すべきかについて最適な生産計画を導き出す。

また、従来にない新しい価値や発想を生み出す独自のデザインアプローチの手法やプロセスを活用して、より踏み込んだシステム設計を実施する。専門チームによる熟練者を含めた現場への調査やインタビューを行い、計画立案に関する一連の業務を理解するとともに、日立のデータ・アナリティクス・マイスターが解析する製造現場の様々なデータをかけ合わせ、熟練者のノウハウをシステムへ組み込む。

これにより、需要変動など日々の環境変化にも柔軟に生産計画の組み替えが可能となるなど、計画や見直しに要する負荷を大幅に軽減する他、生産計画の立案に関する技能継承を支援する。

また、Hitachi AI Technology/計画最適化サービスは、新日鉄住金との共同実証に適用されている。共同実証では、熟練者の生産計画の一部について再現性を確認できたため、2018年2月から本格的な実証環境を整備する予定。今後、日々の熟練者の生産計画とこのサービスで算出した生産計画を比較・検証する段階に移行する。

日立は、新日鉄住金への共同実証例をIoTプラットフォーム「Lumada」のユースケースとして、製造業の生産計画の他、小売・流通における配車計画、旅客・貨物など交通・運輸の配送計画といった他の業種における日々の様々な計画業務へ幅広く展開する計画。