創薬・医療分野にて匿名バンクを活用

医薬品の開発費用は世界的に高騰し、臨床研究・治験の効率化が求められている。特に希少疾患は全国に患者が点在していて、臨床研究だけでなく製造販売後の安全性評価にも多くのコストがかかっている。

このような中、厚生労働省が提案したクリニカル・イノベーション・ネットワーク構想において、患者レジストリ(疾患登録情報)による情報収集の効率化とコスト低減が期待されている。来年4月施行予定の省令では、基準を満たす患者レジストリのデータが製造販売後の安全性評価に新たに活用できるようになるという。日立製作所は、医薬品や医療機器の迅速な開発を支援するヘルスケア分野向け「患者レジストリサービス」を、来る4月1日から提供開始と発表した。

患者レジストリとは、患者の疾患、治療内容、治療経過などを管理するデータベース。そして、来週東京でのフォーラムでも紹介予定の「患者レジストリサービス」は、日立の秘匿情報管理サービス「匿名バンク」を利用し、安全な個人情報収集と患者レジストリ運営を支援するクラウド基盤を医療機関や製薬企業を対象に提供するという。

従来、個別に開発していた個人情報管理機能やCRF(症例報告書)マスター管理機能など、患者情報の収集や患者レジストリ運営に必要な機能を標準装備する。
標準作業手順や計画に基づいたマスター設定を行うだけで、システムを早期に利用できる。最大限の配慮が求められる患者の個人情報管理については、ヘルスケア、金融や公共など多くの分野で実績のある「匿名バンク」を用いることで、クラウド上で高いセキュリティレベルを確保し、インターネットを活用した複数拠点での連携を実現する。

これにより日立は、臨床試験データを電子形式で提出、または保存する際の留意事項であるER/ES指針(薬食発第0401022号厚生労働省医薬食品局長通知)に対応し、データの信頼性を担保し、医薬品や医療機器の開発を支援する構えだ。