米IBM、ブロックチェーンを応用した金融機関向けサービスを提供

米IBMは、ブロックチェーン技術を基盤とする新しい金融機関向けサービスの提供を開始した。企業や消費者のグローバル決済にかかる時間短縮とコスト削減を目的に、金融機関が担う国境を超えた決済を支援する。

ブロックチェーン技術は、全ての取引を記録する分散型台帳。仮想通貨(ビットコイン)を支える仕組みとして登場したが、金融取引など様々な用途に応用できるとして注目を集めている。日本IBMでは、2017年10月から「IBM Blockchain Platform」を提供すると公表していた。IBM Blockchain Platformは、ブロックチェーンシステムの開発、運用までを支援する企業向けサービスだ。

今回発表した新しいサービスは、ブロックチェーンの分散台帳を利用することで、適切な関係者が金融取引の清算、決済に関するアクセス権などを得ることができる。全ての決済タイプ、決済金額を対象に世界全体の金融フローを増大させるように設計されており、金融機関は中央銀行が発行するデジタル資産との交換のための決済ネットワークを選択できる。

同社の技術パートナーであるStellar、KlickEx Groupと連携。IBM Blockchainを利用することで、銀行の決済業務を単一ネットワーク上で完了し、スピード向上を可能にするという。また、IBMは開発・導入のプロセスの一環として、世界的に大手とされる様々な金融機関との連携を進めている。

例えば、サモアの農場者がインドネシアのバイヤーと貿易契約を結ぶことができるという。このブロックチェーンは契約条件の記録や取引文書の管理にも使用でき、農場主は、透明かつ容易に貿易を行いながら、担保を設定し、信用状を保証し、即金での決済で取引条件を成立させることも可能だと説明する。

現在、国際的な決済は費用がかさみ、多くの労力を要し、間違いが生じやすくなる場合もある。また、異なる通貨における取引は複数の仲介者を必要とし、完了までに多くの時間をかける場合がある。

世界銀行によると、決済を最新化し、金融アクセスを提供する取り組みを実施した場合、通貨の流れや商取引を改善し、2020年までに10億人もの人々に金融サービスを拡大するという目標の達成に寄与する可能性を示唆している。