近ごろ「ナノ」ということばをよく耳にする。日常生活において、100万分の1ミリメートル台の微粒子が繊維や食器をきれいにしたり、紫外線から肌を守ったり――。ナノ材料、ナノテクノロジの研究開発、およびその応用は様々な分野において、先進各国で10年以上前から盛んだ。
そしてきょう、新エネルギー・産業技術総合開発機構は、同機構の事業において、(株)NILが機能成分の有効性を最大化する革新的なスーパーナノ粒子(SNP)製造技術の開発に成功したと発表した。SNPは、ナノ粒子として備えるべき基本特性を有するとともに、目的に応じて粒子表面をさまざまに機能化できる、他に例のない差別性を有しているという。
NEDOでは、具体的な技術シーズを活用した事業構想を有する起業家候補人材(SUI)を支援する事業を実施。公募採択されたSUIがビジネスプラン作成、市場調査、試作品設計・製作など、自らの研究開発型ベンチャーの立ち上げに必要な活動を、事業カタライザー(起業・事業化の専門指導者)によるハンズオン支援のもとで行っている。
NILは、長年にわたって蓄積した有機化学の知見とナノ粒子製造技術をもとに、上記SNP製造技術を開発。フローマイクロリアクターという精密デバイスの活用によるものだという。同技術を用いて、植物由来の機能成分の浸透性などを飛躍的に高めたヘアケア製品群を開発し、新たなオーガニックヘアケア化粧品ブランド「SUNA BIOSHOT」として、今月20日より販売を開始する。
製品化にあたっては、筑波大学生命環境系の礒田博子教授との共同研究による成果――南米ペルー固有の豆から抽出したポリフェノール成分に、顕著な毛乳頭細胞増殖およびメラニン色素産生促進効果があり、遺伝子発現解析により、メラニン色素をメラニン細胞外に速やかに排出する効果も確認できた――も生かされている。