いま世の中には電子回路があふれている。自動車や電車、航空機や船、産業機器や家電はもちろんだし、オフィスや店舗内にも必ずあり、腕に載り、ポケットや鞄の中にもある。それはあらゆるモノがIoT時代を迎えて、農地など、さらにテリトリーを広げつつある。
小型で精密な電子回路は、LSIなどの半導体素子群とそれらを電気的につなぐプリント配線基板とで構成されていて、実用機器の中に組み込まれている。近年、急速な普及を見せる高機能IoT家電や産業機器、車載機器などの基板には、複雑な処理が可能な高性能LSIを実装したシステムが搭載されている。
そのような組込システムにおいて、CPU(中央演算処理ユニット)や、現場でプログラミング可能なFPGAなどの高性能LSIは、接続端子数が1000ピンを超えるものが多く、それを表面実装するBGAパッケージなど、基板に実装すると接続端子部を直接目視できない形状のものがほとんどである。
LSIと基板との接続不良(オープン)や端子間短絡(ショート)が発生した際、1端子ずつの確認が必要で、従来、故障箇所の特定に非常に長い時間を要していたという。OKIエンジニアリングは、システム基板の故障箇所を非破壊で24時間以内に特定する、受託試験業界初のサービス「組込システム搭載基板向け故障診断サービス」を明日より提供開始する。
半導体デバイス内検査の標準規格IEEE1149.1(JTAG)に着目し、基板とLSIとの接続不良端子および短絡端子を非破壊で、かつ短時間に特定できる手法を確立。特定された端子情報を基に、ショート/リークに伴う発熱箇所を割り出す「ロックイン赤外線発熱解析」、内部構造の撮像をコンピュータで処理する「X線CT解析」などを組み合わせて、さらに詳しく故障内容を解析することが可能で、顧客製品の不具合原因究明に大きく寄与するという。