スマート農業、共用施設にて実験始まる

インターネット・オブ・シングス(IoT)がいま、さまざまな産業分野で熱い。けれども如何に、どこから手をつければ良いのかわからないという事業者も多いのではないだろうか。日本で、革新を迫られている農業の当事者および支援者からそんな声が聞こえてきそうである。

農業人口の減少や高齢化による人手不足から、地域産業である農業の活性化が喫緊の課題となっている。これら課題に対し、効率的で持続可能な農業を実現する、ICT(情報通信技術)を活用した農業ソリューションの提供や技術開発に取り組んでいるという。ヤンマーはきょう、総務省・情報通信研究機構(NICT)による「平成28年度 IoTテストベッド事業及び地域データセンター事業に係る助成金の交付決定」を受けて、次世代施設園芸システムの確立に向けたテストベッドを設置。本日より運用を始めると発表した。

新たな活動として、栽培や生産管理などに人工知能(AI)/IoTを活用する、農的空間を滋賀県米原市に整備した。テストベッドは、'20年9月末まで、消費者のニーズに合わせた栽培コントロールを目指した研究等に利用できる。温度・湿度等のセンシング技術とネットワークの信頼性検証や、遠隔制御収集したデータの活用によって収穫時期と量を予測。将来的にはハウス毎だけでなく、周辺の農作物の生育状況をクラウドで一元管理できる農業プラットフォームの構築が期待される。

ハウスを農的空間と考え、通信機器、データ分析、AIアルゴリズム、クラウドシステムなど、それぞれの業界において先進的な技術を持つ企業と協力し、農業にAI/IoTを活用しやすいテストベッドを構築したという。同社は今後も様々な企業と連携していく構えであり、テストベッドは、ICTの研究開発に取り組む企業のIoTデバイスやネットワークなどの開発・検証に活用――運用開始にあわせて、米原市など、自治体も利用していくとのことだ。