大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、ペットボトル飲料などの無菌充填システムにおいて、商品切り替えの際に充填作業の前処理として行う、機器の殺菌工程の時間を最大2分の1に短縮する制御ソフトウエアを開発した。
近年、生活者の嗜好が多様化する中、飲料市場においても多品種少量生産が求められるようになっている。そのため、1台の無菌充填システムで生産する商品アイテム数が増加し、充填する商品を切り替える頻度が増えていて、その際に前処理として行う、飲料の殺菌等を行う液処理機器や充填機器の洗浄から殺菌までの工程の時間短縮が求められてきた。今回DNPは、このニーズに応えて、充填システムの機器殺菌時間を従来の約半分に短縮する制御ソフトウエアを開発した。
これまで無菌充填システムの機器を殺菌する際は、蒸気や熱水で飲料タンクや配送管を加熱して、液処理機器や充填機器内の10~20カ所に設置した全ての温度計の値が130℃になってから30分間、温度を維持した状態で殺菌してきた。そのため、殺菌の開始から、機器が常温に戻って飲料の充填を開始するまでには約1時間かかっていたという。
今回開発したソフトウエアを導入すると、従来1時間ほどかかっていた殺菌時間を約30分間に短縮し、大幅な生産性の向上が期待できる。例えば、切り替え作業を年間300回行っている工場では、約150時間を年間で短縮することが可能。また、時間短縮によって、殺菌処理の際に発生する熱エネルギーやCO2の排出量も削減されるため、環境負荷の低減につながるという。
このソフトウエアはペットボトル飲料や紙容器、パウチ包装やポーションパックなど、全ての無菌充填システムに対応。無菌充填システムのユーザー企業向けに販売する。DNPは、2022年までに年間20億円の売り上げを目指す。