クライアント仮想化への投資効果

机上のPCを軽量薄型にする。テレワークなどで仕事の効率や機動性を向上させ、同時に情報漏洩等セキュリティ対策を強固にするといった目的で、エンドユーザの利用端末を抽象化する。クライアント仮想化は、すでに様々な組織で導入が進んでいる。

そしてきょう、IT専門調査会社のIDC Japanは、今年実施したユーザ調査および取材を基に、クライアント仮想化市場の実情――クライアント仮想化のROIの算出と分析を行い、その結果を発表した。2013年以降の過去5年間におけるクライアント仮想化のROIは300%を超えていて、高い投資対効果が実証されたという。

2017年、クライアント仮想化製品のROIは383.4%、投資回収期間は10.7か月。初期投資額(1年分)、年次投資額、ベネフィット/年はそれぞれエンドユーザ1人当たり23万6,467円、6万2,724円、77万9,127円と算出された。IDCのROI分析手法では、ベネフィットをエンドユーザ、IT管理者、企業全体の3つに区分していて、エンドユーザのベネフィットが占める割合が最も高く、全体の65.7%を占めていた。IT管理者のそれは28.6%、企業全体のベネフィットは5.7%だった。

エンドユーザの平均使用時間/日は3.9時間、全従業員のうちそれを使用している人の割合は44.5%であった。クライアント仮想化製品の導入によって、エンドユーザ、IT管理者およびITスタッフ、企業全体でそれぞれ25.0%、34.1%、26.7%のベネフィットの増加効果が見られたという。'17年は前年と比較して、クライアント仮想化システムのスケールアップ/スケールアウトなどによる投資金額の増加の割合が、ベネフィットの増加割合を上回ったことで、ROIはやや低くなった――など、詳細は「2017年 国内クライアント仮想化市場 ROI分析: 投資対効果の付加価値」で報告されている。