かつて造船大国だった日本は、いまもその現場力を強みとしている。加えて、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」技術や人工知能(AI)を活用するなどしていっそう、造船の生産性向上を目指している。
IT(情報技術)を利活用したイノベーションの創出・生産性向上を行い、2025年の世界建造シェアを3割とする等の目標を掲げた。国土交通省は、海事生産性革命(i-Shipping)を推進する。そして、「世界で最も信頼される溶接ソリューション企業」としてアジアNo.1への目標を掲げる神戸製鋼はきょう、船舶建造時に大型ブロックを組み立てる工程において、これまで適用が難しかったロボットによる自動溶接を可能にする造船大組立ロボットシステムを開発し、販売を開始していることを発表した。
すでに国内の造船メーカーに導入され、従来の溶接作業時間に対して2割程度の削減に繋がっているとの評価を得ている。溶接作業の効率化に大きく貢献する。造船現場における自動溶接は、i-Shippingにおいて、生産性向上や省人化に寄与する技術として期待されているという。ロボットシステムは、ICT(情報通信技術)を活用した自動溶接ソフトウェア「SMART TEACHING™」、小型溶接ロボット「ARCMAN™A30S」、溶接ワイヤ「FAMILIARC™DW-100R」、IoTを活用した安定生産支援システム「AP-SUPPORT™」の4つで構成されている。
それぞれ、作業現場でのロボット動作パターンを作成不要にして大組立工程の溶接の自動化率向上、アークセンサの機能維持に十分な剛性を確保してモータ等の内蔵によって従来比83%減の小型化、立向上進溶接での高品質・高能率化、i-Shippingが推す「工場の見える化」といった効果を実現する。
溶接ソリューションを推進する同社は、中期経営計画において、自動溶接の適用範囲拡大に取り組んでいくという。