医療ビッグデータによる地域包括ケアシステムの確立へ 名張市

医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構と東京大学 生産技術研究所は、三重県名張市と協力し、地域における医療・介護・健診に関するビッグデータを活用した、エビデンスに基づく効率的な地域包括ケアシステムを実現するための研究に取り組んでいる。

医療経済研究機構と東京大学は、これまで内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム「社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォーム」(ImPACT)の支援の下、東大生研が保有する非順序型実行原理に基づく超高速データベース技術を用いた健康・医療ビッグデータの利活用に向けた研究を進めてきた。

その一環として、地域における医療・介護・健診のビッグデータを活用した施策立案を目指す研究に取り組み、2016年度には医療・介護・健診のそれぞれのビッグデータを統合して解析可能な「ヘルスケアビッグデータ解析システム」の試作に成功している。

このシステムにより、地域の通院動態を多角的に捉えることが可能となった。現在、試作システムにさらに多くの健康・医療ビッグデータを取り込み、施策の立案に必要となる機能を追加して実用化に向けた研究を進めている。

具体的には、2017年度中に医療・介護の需要供給の実態の可視化、特定健診受診率の向上と効率化分析、各種リスクファクターに基づくベンチマーク分析、医療・介護支出目標の予測手法の確立などを進めている。これらの成果に基づき、2018年度中に財源調整等の立案へ結びつける予定。また、名張市が推進している「まちじゅう元気!!プロジェクト」の活動と連携し、これらの活動から生み出されるビッグデータについても、生活習慣病の重症化予防、科学的な自立支援等への利活用に向けた分析を進める。