一時停止しなかった事象を自動検知するアルゴリズムを確立

NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)と日本カーソリューションズ(以下、NCS)は、「車両が道路標識などにより一時停止すべきことが指定されている場所で、一時停止しなかった事象」を検知するアルゴリズムを確立したと発表した。

AI(人工知能)技術「ディープラーニング(深層学習)による物体検出アルゴリズム」を用いて、ドライブレコーダーの映像から道路標識などを抽出し、センサーデータ(速度)と組み合わせた。AIはNTTグループのAI関連技術「corevo」を活用している。

今回のデータ解析に関する実験では、「NCS交通安全プログラム」の映像解析サービスで利用中のドライブレコーダーの録画映像の中から、道路標識などにより一時停止すべきことが指定されている場所で、一時停止しなかった事象を検知対象に設定した。このアルゴリズムを用いて、約2,000件の映像から本事象と判断された映像を抽出したところ、96%という精度で検知することに成功した。

NCSは、カーリースを契約している企業ユーザーに、安全運転促進のための自動車IoT(モノのインターネット)ツールとして「NCSドライブドクター」を提供している。このサービスのオプションであるNCS交通安全プログラムの映像解析サービスでは、専任スタッフが車載器に記録された映像ビッグデータの中から、交通違反につながるヒヤリハットなど様々な危険運転シーンを抽出し分類を行っている。この業務には多くの時間を要するという課題があり、より手早く正確に行うことが求められていた。

NTT Comは、2016年から車両向けディープラーニング技術の開発に取り組み、ドライブレコーダーのデータ解析によるヒヤリハットの検知に成功している。この知見から、映像や速度など複数の入力情報を判断材料とする時系列データを、AIを活用して分析することで交通ルールに沿って運転しているかを自動で判別できると考え、両社でデータ解析に関する実験を開始した。

両社は今後、様々な危険運転の検知・解析の精度を上げて実用化することで、安全運転の推進を目指す。NTT Comは、今回の実験で確立したアルゴリズムを、車両向けAI/IoTソリューションとして提供する。NCSでは、このシステムによるデータ解析結果をユーザー企業に提供し、効率的な安全運転管理業務の実現を支援する。