日本発、匂いセンサを世界の業界標準に

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代。主役であるモノの情報を活用できるようにする要は、センサだといっても過言ではないだろう。温度、湿度、振動、圧力、回転、速度、光量などをデータにする、それがとうとう香りやニオイにまで及ぶ――。

きょう、物質・材料研究機構(NIMS)、京セラ、大阪大学、NEC、住友精化、旭化成、NanoWorldの7者は共同で、超小型センサ素子「MSS(膜型表面応力センサ)」を用いた嗅覚IoTセンサの業界標準化を推進する、"公募型実証実験活動"を行う「MSSフォーラム」を来月1日に発足させると発表した。

MSSは、NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の吉川元起GLを中心とした国際共同研究によって、'11年に開発されたセンサー素子。ガス分子を吸着させる「感応膜」には有機・無機問わず様々な材料が利用可能なので、汎用性が極めて高く、香りやニオイの元となる多様なガス分子に対応できる。超小型・超高感度であるため、食品、環境、医療、安全など様々な分野への応用が期待されているという。

嗅覚センサとしての基礎研究を経て、'15年にはMSSの実用化を加速すべく、産学官共同で要素技術の研究開発を行う「MSSアライアンス」を発足。これまでの活動を通して、センサデバイス、感応膜材料、精密評価システム、計測データ分析・解析環境など、重要技術の研究開発にて顕著な成果を得られた。今年4月、旭化成が新たに参画し、感応膜材料およびその塗布技術の開発を担当。

これらの成果を基に10件以上の実証実験――たとえば、西洋梨の成熟度あるいは酒類のアルコール度数をニオイで推定が実施されていて、様々な香りやニオイに対する高い感度と識別能力が次々に実証されているという。技術デモと講演が、「MEMS SENSING & NETWORK SYSTEM 2017(MEMS展)」 にて行われる。