ビッグデータの流通を加速するネットワーク、実現へ

世界中から情報を集め、蓄えたり処理したりしたそれを様々な人や所へ発信する、巨大データセンタには広大な土地と豊富な電力があればいい。システムの能力は足せばいい。けれど情報経路の課題は足し算だけで解決できない。

SNSが普及し放送もデジタル化された今、高精細画像などの非構造化データ(ビッグデータ)が爆発的に増えつつある。先には4K・8Kといったさらに高精細の映像を送受信するニーズが待ち構えている。

ネットワークにおいて、従来手法では将来の通信需要に応えられなくなると見込む。情報通信機構(NICT)は産学と連携し、1本の光ファイバに7~36個の光通信路を収めたマルチコア光ファイバを開発し、伝送容量の世界記録を更新。同ファイバで構成された網状の通信路を伝わる情報の経路を自在に設定し、瞬時に変更する交換機能を実現するため、光スイッチシステムの研究開発を進めてきた。

そしてきょう、NICTネットワークシステム研究所は、光交換技術において、従来の世界記録を4倍以上更新し、毎秒53.3テラビットの光パケット信号のスイッチング実験に成功したと発表。小型で繰り返し高速切替えを行う新型並列光スイッチ、光パケット信号の宛先に応じて複数のそれを同時に駆動させるスイッチコントローラといった要素技術で構成した、今回開発のシステムでは、各コアの光信号の一括切替え――。1回の経路切替えに要する時間は80ナノ秒と高速で、1秒間に390万回以上のスイッチングを達成した。

ビッグデータ流通ネットワークのスイッチに適応できることを示した。次世代光ファイバと光スイッチシステムに利用により、デバイス設置スペースの大幅な縮小や消費電力の低減が可能となる。実験結果は、第43回欧州光通信国際会議(ECOC2017)にて非常に高い評価を得て、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択されたとのことだ。