蓄電池システムの状態監視にAIを活用する実証実験、NTT ComとGSユアサ

GSユアサとNTTコミュニケーションズは、NTT ComがAI技術の一種であるディープラーニングを用いたデータ処理サービスを提供し、GSユアサがAI技術によるリチウムイオン電池の状態監視の実証実験を開始する。

性能向上が著しいリチウムイオン電池は、幅広く様々な用途や地域に普及していて、メガソーラーや風力発電用の大規模蓄電システムにも導入が進んでいる。これまでの電池の状態監視では、定期点検・自動測定で収集された電圧や電流などのパラメータを用い、あらかじめ想定した関係式やしきい値、経験を積んだオペレーターが分析して診断を行っていた。今後さらに普及が進むと取り扱うデータ量が多くなり、オペレーターを増やして対応しなければならないといった課題があった。

GSユアサとNTT Comはこういった課題を解決するため、2016年からAIを活用した電池の状態監視の実現に向け、電池の種類の分類に関する検証を実施してきた。2016年の検証では、NTT Comが電池の電圧や電流などの時系列センサーデータから、ディープラーニングを用いて電池の種類を分類するAIモデルを作成。学習後のAIモデルに追加学習を施し、学習データを増やすにつれて分類精度がどのように変化するかについて、GSユアサが評価してきた。その結果、わずかな電池特性の差異を見分け、極めて高い精度で電池の種類を分類可能であると確認できたため、今回の実証実験に取り組むことにしたという。

今回の実証実験では、稼働中の蓄電池システムを構成する定置用リチウムイオン電池から取得した電圧や電流などの時系列センサーデータを、ディープラーニングを用いてAIに学習させ、電池の状態監視を行うシステムの基盤構築と検証を行う。蓄電池システムの測定データをネットワーク経由で収集し、そのビッグデータについて経験を積んだオペレーターの代わりにAIが分析する。

今回開発するAI技術を適用した状態監視によって、さらに精度の高い効率的な電池状態の検知・予知および制御を行うことができ、安全性や信頼性が向上する。また、ネットワークを介してモニタリングできるため、蓄電池システムのスマート化に寄与できると説明する。