世界中でその標準化について主導権争いが激しくなっている。第5世代移動通信システム(5G)は超高速・大容量、低遅延、多数接続といった特長を備えていて、日本ではTOKYO2020を里程標としつつ、さまざまな分野での活用が研究されている。
通信事業者も利用者も5Gに寄せる期待は大きい。革新的なサービスを顧客に提供することを目的に、KDDIとJR東日本はきょう、5G活用の実証実験を共同で実施すると発表した。鉄道サービスの高度化や新たなサービスの創出を推進する。一方、列車内や駅構内をより便利で快適にする様々なサービスの実現に向けて、5Gの有用性を検証していくという。
鉄道ファンがその姿をみたらきっと歓喜するだろう、走行車両での検証を含む共同企画は次のようなものだ。
来月中旬~下旬:在来線試験電車「MUE-Train」 にて。高速走行する列車内での高速・大容量通信を実現するために、ビームトラッキング(受信側の移動に合せて電波方向を変える技術) の検証を行うとともに、ハンドオーバー(移動に合せた接続基地局の変更技術)の性能を検証する。先頭車両に設置した4Kカメラを用いて、高精細映像の送信や車内での8K映像ストリーミング受信を行う。
来月下旬~11月上旬:駅ホームでの電波伝搬試験。列車往来が頻繁で、多数客が乗降する環境下において、5Gの高周波数帯(28GHz)の電波の伝わり方を検証し、電波が届く範囲を延伸するための要素技術であるビームフォーミングを試験する。
そして来年1月頃をめどに、上野駅イベント広場にて、5Gによる遠隔地VR(仮想現実)体感イベントを開催。同駅で実施の地域再発見産直市と宮城県の南三陸さんさん商店街を5Gで接続し、上野駅にいながら南三陸さんさん商店街でのショッピングを体感できる。このイベントでは、ネットワーク伝送時間や高速・大容量通信について検証するとのことだ。