多摩メディカル・キャンパスは、多摩地域における医療拠点として、都内で最大級となる約1,600床の病床を有する。各医療施設の連携によって多岐にわたる高度で専門的な医療サービスを提供している。
多摩総合医療センターと小児総合医療センターでは、救急医療・がん医療・周産期医療などを中心とした重症度の高い急性期医療を提供し、神経病院では脳神経疾患や神経系難病に関する高度で専門的な医療を提供している。
従来、3病院では診療部門システムごとに物理サーバが導入されていたため、投資・運用コスト、障害発生時の冗長対策に課題を抱えていた。各病院はこれらの課題を解決するため、診療部門システム共通の仮想基盤を構築することにした。
各病院は、従来計約110台の物理サーバ上で稼働していた計約40種類の診療部門システムを共通仮想基盤に移行して計17台のサーバへと集約。設備投資コストと運用管理工数を効率化するとともに、診療部門システムの安定性と可用性を向上した。
共通システム基盤は、サーバ仮想化ソフト「VMware vSphere」、サーバに「Cisco UCS」、データセンタースイッチに「Cisco Nexus」、共有ストレージに「Dell EMC VNX」を採用している。
今回構築した共通仮想基盤は、診療部門システムを稼働させるため、安定性と可用性を重視。安定性向上については、ネットワンシステムズが約40種類におよぶ診療部門システムの各ベンダーから、システム稼働に必要な仮想マシンのCPU/メモリ/ディスク容量/ネットワーク帯域などのITリソースを個別にヒアリングするとともに、豊富な仮想基盤の構築実績に基づく独自の設計ノウハウを組み合わせることで構築した。
可用性向上については、物理サーバが障害などの異常で停止してしまう場合でも、仮想化技術を活用して、他の物理サーバ上で診療部門システムを自動的に再稼働させる仕組みで運用している。また、診療部門システム共通の基盤を整備したことで、セキュリティパッチやソフトウェアアップデートの個別管理が不要となり、各種運用・設定ポリシーが統合されて情報セキュリティの強化を図っている。