企業向けブロックチェーンにて契約基盤をスマートに

昨今、金融機関や各国中央銀行もその研究に熱心である。仮想通貨は分散型台帳――従来の中央集権的高コストシステムでの元帳管理とは反対の――ブロックチェーン技術を基盤にして改ざん等を困難にする。同技術は、金融系システム以外へ適用範囲が広がりつつある。

たとえば著作権をはじめとする知的財産管理、戸籍や各種登録簿といった公的情報の管理など、パブリックでありながらデータの秘匿性も兼ね備えたしくみの提案がされていて、企業ユースを念頭にさらに汎用性を高めたブロックチェーン技術が提供される。その一つがイーサリウム(Ethereum)だ。

スイス生まれのそれはブロックチェーン・アプリ・プラットフォームとして、英国政府にインフラ保全や社会保障、徴税での利用が検討されている(「Distributed Ledger Technology:beyond block chain」参照)。

フォーチュン500や新興企業、学術団体、テクノロジーベンダらとともに、イーサリウムを企業級のソフトウェア能力――複雑できついアプリをビジネススピードで処理するものにしようという同盟組織が、「Enterprise Ethereum Alliance(EEA)」であり、ここでは企業向け機能や要件のロードマップ、オープンソース技術の知財及びライセンスモデルの管理強化、テクノロジー普及のための利用例の資源化などを行っている。

今日EEAに加入したKDDI、KDDI総合研究所、クーガーは、国内で初めてEnterprise Ethereumを活用した「スマートコントラクト」の実証実験を始めると発表。契約を改ざん困難な形でプラグラム化し、条件合致時に自動執行する、仕組みの第一弾として、携帯電話の修理申し込みから完了までの、リアルタイムな情報共有およびオペレーション効率化の可能性を検証する。先では人工知能(AI)技術等との組み合わせも検討されている。