三菱電機、準天頂衛星システムからのCLAS信号による自動運転の実証実験

三菱電機は、準天頂衛星システムからの「センチメータ級測位補強サービス」(以下、CLAS)信号を用いた自動運転の実証実験を高速道路で開始した。

CLASは、内閣府が整備する準天頂衛星システムから日本全国に無償で配信される高精度測位値を得るための測位補強情報。CLASの運用開始は2018年4月から予定されていて、現在は試験サービス期間中。自動車の安全運転支援や自動運転をはじめとする様々な分野での利用が期待されている。

準天頂衛生とは、特定の一地域の上空に長時間とどまる軌道を取る人工衛星のこと。三菱電機によると、これまで日常で使用している衛星測位は、米国GPS衛星を代表とするGNSS衛星(Global Navigation Satellite System:全地球測位衛星システム)からの測位信号を利用したもので、衛星が持つ誤差(衛星軌道、衛星クロック、衛星信号バイアス誤差)と測位する地域による誤差(電離層、対流圏遅延誤差)を含んでおり、測位精度は数メートル程度だったという。

CLASはこの測位精度を向上させるために、国土地理院が設置している電子基準点網を活用して衛星や地域ごとの誤差を補正する測位補強情報を生成。準天頂衛星経由でユーザーに配信する。ユーザーは、CLAS信号を受信できる高精度測位端末(高精度ロケータ)を使うことで、自らの位置をセンチメートル級で把握する。

三菱電機によると、準天頂衛星システムからのCLAS信号を用いた自動運転は、世界で初めてだという。同社は、ミリ波レーダーやカメラなどの周辺センシング技術を活用する自律型走行と併せて自動運転の実用化を目指すと説明する。