あしたのリッチコンテンツ向けCDN基盤技術を開発

デジタル放送やスマホ画面に慣れた目で、古い録画を見たり、押し入れにしまってあったTVゲーム機を操作したりすると、愕然とする。ああ、こんなに粗い画像で満足していたのかと――。TOKYO2020のあとにもそんな経験をするだろう。

超高画質の4K・8K放送を視聴し、VR/AR(仮想現実/拡張現実)の世界に没入し、配信ゲームで遊ぶ。基盤の通信回線がより太く、低遅延のものになっても、コンテンツを配信する仕組み自体が進化しなければ、劇的な体験――エンターテイメントだけではなく、ビジネスシーンでの活用も望めない。がきょう、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)基盤におけるキャッシュ効率の悪さについて、電気通信大学の吉永研究室と、デジタル経営の進化と深化に貢献するTISは、ネット通信量を削減する「大容量コンテンツ配信を担う軽量分散協調キャッシュ技術」を共同開発したと発表した。

複数のキャッシュサーバを接続したネットワーク全体で大容量キャッシュを構築。キャッシュされたコンテンツはサーバ間で共有し、人気コンテンツはユーザに近いサーバに配置することで、効率よく通信量を削減する。サーバとコンテンツは、あらかじめ数グループに分割し、所属グループタグを付しておき、人気コンテンツは多数のグループに所属するよう調整し、所属グループが同じコンテンツをキャッシュすることで、円滑なコンテンツ配信を実現する。キャッシュ配置計算の精度限定により、既存手法で10時間超を要していた最適キャッシュ配置計算を10秒程度に短縮できた。同技術を活用した広域ネットワークにおけるシミュレーション評価では、現行の国内インターネット通信量を最大で約85%削減可能との結果が出ているという。

両者は、学術的評価も高い同技術について、4件の特許を出願中で、研究成果を来月幕張メッセで開催の「CEATEC JAPAN 2017」にて披露する。