コーセー、皮膚のシミ構造の3D化に成功

コーセーは、久留米大学 先端イメージング研究センター 太田 啓介准教授との共同研究で、ヒト皮膚のシミ部位におけるメラノサイト(色素細胞)とケラチノサイト(表皮細胞)の立体的な位置関係を初めて捉えることに成功したと発表した。

コーセーは、シミ形成メカニズム解明や薬剤の開発について様々な角度から研究を重ねてきた。より有効な美白アプローチを開発していくためには、ユーザーの悩みとなるシミ部位で、メラノサイトとケラチノサイトがどのように存在して、メラノサイトからケラチノサイトへメラノソームの受け渡しが行われているのかをより立体的なイメージとして構造的に把握することが重要だと考えてきた。

今回の共同研究では、ヒト皮膚から得た健常部位とシミ部位に対し、皮膚3次元再構築技術を用いることで、メラノサイトとケラチノサイトの立体的な位置関係を可視化することに取り組んだ。その結果、シミ部位のメラノサイトとケラチノサイトの配置を初めて立体的に再現でき、シミ部位のメラノサイトは樹状突起が伸長し、分岐の数が多いことを発見できたという。

コーセーは、ヒト皮膚から採取したシミ(老人性色素斑)部位を集束イオンビーム/走査型電子顕微鏡「Focused Ion Beam/ Scanning Electron Microscopy(FIB/SEM)」を用いて画像撮影を行い、そこから得られた連続画像300枚から3次元再構築を行った。その結果、メラノサイトの樹状突起がケラチノサイトの下部から上部まで伸長し、ケラチノサイトを包み込む状態を観察できた。

また、健常部位とシミ部位のメラノサイトの形状を詳細に比較するため、共焦点レーザー顕微鏡で撮影し、メラノサイトの3次元再構築を実施。その結果、健常部位に比べて、シミ部位のメラノサイトが縦横に樹状突起を長く伸長させているだけでなく、樹状突起の分岐も多くなっていることを明らかにした。

コーセーは今回の成果により、さらなる美白メカニズムを解明し、2018年発売予定の美白化粧品に今回の知見を活用する予定。