KDDI総合研究所と住友電工、毎秒10ペタビットの伝送実験に成功
伝送容量10ペタビットとは、1秒でブルーレイディスク2.5万枚分(50GB/両面)のデータを伝送でき、また1億人が同時に100メガビットの通信を可能とする通信速度。実験では、114の空間多重を可能とするマルチコアマルチモード光ファイバー技術を用いた。
KDDI総合研究所によると、これまで空間多重数が100を超えるマルチコアマルチモード光ファイバーも開発されてきたが、その伝送容量は毎秒2ペタビットが最大だったという。
従来の単一モードファイバー通信では、光信号を波長軸上に複数「波長多重」することで伝送容量を拡大してきた。しかし、入力できる光パワーの限界や光ファイバー中での信号間の干渉などによって実質的な伝送容量は毎秒約0.1ペタビットが限界だと言われている。
近年、その限界を打破する技術として、光ファイバーの中に複数のコアを設けるマルチコアファイバーや複数の伝搬モードを活用するマルチモードファイバーに代表される「空間多重」技術が世界的に進展。これまで22の空間多重が可能な22コアファイバーを用いて、毎秒2.15ペタビットまでの容量拡大が報告されていた。
今回、住友電工が光ファイバーの高性能化を図り、KDDI総合研究所が10ペタ伝送を評価するための信号を用意し、全チャネルを効率的に評価する手法を導入して伝送特性を評価することで、伝送容量毎秒10.16ペタビット(伝送距離11.3キロメートル)を達成した。
KDDI総合研究所はこの研究により、マルチコアマルチモード光ファイバーを用いた10ペタ超の超大容量光通信システムの実現可能性が示せたと説明する。両社は今後、マルチコアファイバーやマルチモードファイバーの適用領域を見極めながら、5Gを含め将来の多様で大容量なデータ通信需要に対応すべく光ファイバー伝送基盤技術の発展に貢献したいという。