世界的LoRaWANで徳島のLPガスをIoT化

石油精製の副産物である炭化水素ガスを冷却または加圧して液体にしたもの。即ち液化石油(LP)ガスは、その主成分から「プロパンガス」として馴染み深い。近ごろ都会では業務用車両にその印を見かける程度だが、地方に行けば家庭用燃料として健在だ。

工業用燃料としても広く利用されていて、天然ガスよりも遙かに高い温度で液体になる。LPガスは、化石エネルギーの中でもCO2排出量が少なく、窒素酸化物等がほとんど発生せず「環境に優しいクリーンエネルギー」であり、また、配管などの供給設備の点検が短時間で済み、避難所や仮設住宅へ設備を迅速に設置できることから「災害対応力に優れている」と全国LPガス協会はいう。

そのようなことからエネルギー源としての重要性が増している。LPガス事業には、検針、保安、配送の各業務の更なる効率化が求められている。これら業務の効率化においては、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器向けのLPWA(低消費電力広域通信)網とその広がりが大きく貢献するだろうという。スタンシステムは、愛知時計電機、STNet、大井電気、日本アイ・ビー・エムおよび菱電商事の協力のもと、きょうから来年3月までの予定で、徳島県にて「LPガス自動検針および地域密着型IoTサービス」の普及に向けた実証実験を始める。

上記6社は、低コストで長距離通信と大量デバイスの接続を実現するLPWAの一つ「LoRaWAN」ネットワークを構築し、LPガス事業における自動検針、配送計画最適化および需要家サービスの仕組みをつくる。徳島県内で構築した同ネットワークは、LPガス用途のみならず、地域の課題を解決するIoTの導入や、地域コミュニティにおける新サービスへ活用できるものだという。

今回の実証実験の成果をもとに、今後地域のLPガス事業者の課題を解決するLPガス向けソリューションとして、他地域も視野に事業展開を進めていく構えだ。