省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの実用化試験を開始

地球環境産業技術研究機構(以下、RITE)、川崎重工業、関西電力は、経済産業省の「CO2分離回収技術の研究開発事業」に参画し、省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システムの実用化試験を関西電力舞鶴発電所内で実施する。

火力発電所などから排出される排ガス中の二酸化炭素の分離・回収は、これからの低炭素社会を実現する上で非常に重要な技術であると期待されている。しかし、分離・回収時のエネルギー消費量低減が課題となっている。

RITEと川崎重工はこの課題を解決するために、これまで「省エネルギー型二酸化炭素分離・回収システム」の研究開発を進めてきた。今回、CO2用固体吸収材や「KCC(Kawasaki CO2 Capture)移動層システム」を新たに開発した。同システムにより、未利用エネルギーである低温排熱を用いたCO2の分離・回収が可能になり、従来の方式と比べて大幅な省エネルギー化が図られるという。

関西電力は2016年度から同事業へ参画して試験地点を検討してきた。関西電力舞鶴発電所内に、国内初となる固体吸収材を用いた「40トン―CO2/日」規模の実用化試験設備を設置することで、2019年度以降に実用化試験を実施する予定だ。

同事業を通じて確立される二酸化炭素の分離・回収技術は、地球温暖化防止に関するパリ協定が目指す温室効果ガスの削減を、従来活用していた技術よりも省エネルギーで実施できる。NYKによると、CO2削減に係るエネルギー負担およびCO2分離・回収コストの低減につながるという。

RITE、川崎重工、関西電力の3者は同システムの技術開発を通じて、温室効果ガス排出量削減による低炭素社会の実現に貢献したい考え。