日本郵船とNTTら、船舶IoTの次世代基盤を開発

日本郵船(以下、NYK)、NYKグループのMTI、日本電信電話(以下、NTT)、NTTデータは、NYKグループが進めている船舶IoTの次世代プラットフォーム開発に関して、NTTの持つ技術、研究開発の成果を組み合わせた共同実験を開始した。

NYKは、2014年からの中期経営計画において技術力による差別化をテーマの1つに掲げ、新しいビジネスの創出や課題解決を具体化する取り組みを推進してきた。その中で、海運会社にとって欠かすことのできない「安全」と「環境」への取り組みを一段と向上させるために、IoT(モノのインターネット)やビッグデータなど、最新のIT活用によるイノベーションに注力。データ活用による最適運航や船舶機器の故障予知・予防の研究、将来の自律航行船に向けた技術開発を進めてきた。

また、安定的かつ効率的なIoTデータの船陸間共有を目指し、船陸間通信に関する独自の高い技術力を持つノルウェーのDualogと戦略的協力関係を結び、船舶IoTの次世代プラットフォームの開発検討を進めている。

NTTは、ITを通じたパートナー企業との協業を推進。今回の共同実験では、NTTの研究成果であるIoT関連の先端技術とNTTデータが持つAI(人工知能)、IoT関連の実績やノウハウを活用。NYKとMTI、Dualogが検討している次世代船舶IoTプラットフォームの実現を支援する。

共同実験では、NYKとMTIが研究開発を進めてきたパフォーマンス管理システム「SIMS」を活用する。SIMSは「Ship Information Management System」の略で、運航状態や燃費、機器の状態など、毎時間の詳細な本船データを船陸間でタイムリーに共有するための装置のこと。NTT研究所のエッジコンピューティング技術とNTTデータのデータ活用ノウハウをSIMSに適用。船上で収集した各種データを様々なアプリケーションで活用し、Dualogの船陸間データ共有技術を活用する。安定的、効率的な船陸間のデータや情報、アプリケーションを共有することで、より高度な船舶の運航と保守管理などの安全と環境への取り組みを進める。

具体的には、NYKグループが安定的かつ効率的な船舶IoTプラットフォームを開発する。同プラットフォームは日本舶用工業会が中心となって取り組んできた船舶IoT分野に関する国際標準規格化に準拠し、日本や欧州の船級協会が推進するデータセンター構想と連携する方針だ。

また、NTTデータはエッジコンピューティング技術を適用することで、多種・多様な機器とアプリケーション間の高速なデータ交換とリアルタイムな分散処理を可能にする仕組みを構築する。また、300件以上のデータ分析に関する実績やNTTグループのAI技術「corevo」などを活用するという。

さらに、Dualogが開発してきた船陸間データ共有を維持する技術を利用し、船陸双方で様々なデータとアプリケーションを効率的に利用できる仕組みを構築する。