国内パブリッククラウドサービス市場は2021年には1兆986億円規模に――IDC調査

IT専門調査会社IDC Japanは、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。2017年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は前年比27.3%増の4,885億円となり、2021年の市場規模は1兆986億円になると予測する。

IDCによると、国内市場ではITの導入時にクラウドと従来型ITを同等に評価/検討する「クラウドオルソー」戦略を取る企業が多い状況だという。また、最近ではクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」へのシフトが見られる。パブリッククラウドサービスのセキュリティについて懸念を抱く企業は多いものの、一方ではセキュリティの強化を期待してパブリッククラウドサービスを利用する企業が増加している。このような動向から、国内パブリッククラウドサービス市場は高い成長を継続するとIDCは予測する。

また、国内市場では、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)への関心が高まっており、DXを具現化するためにオペレーションテクノロジー(OT:Operation Technology)の変革を支援する技術として「コグニティブ/AI(Artificial Intelligence)システム」「機械学習」「IoT(モノのインターネット)プラットフォーム」「ブロックチェーン」などが注目されているという。

こうした新技術はクラウドを前提として開発されており、パブリッククラウドサービスとして提供されることが一般化している。IDCは、現時点ではこれらの新技術に関わる国内パブリッククラウドサービス市場規模は大きくないものの、今後の同市場の成長を促進する大きな要因になると見ている。

現在、国内市場では「データ流通(あるいはOpen API/Open Data)」に関わる議論が深まっている。APIの整備ではクラウドの活用が一般化しており、パブリッククラウドサービスに対する期待も高まっている。新技術によるOTの変革と並んで「データ流通の本格化(APIエコノミー)」は企業のDXを加速し、国内パブリッククラウドサービス市場の成長を促進するとIDCは分析している。

IDC Japan ITサービスのリサーチディレクターである松本 聡氏は「国内パブリッククラウドサービス市場は、新たな成長期を迎えようとしている。その成長を牽引するのはDXであり、ユーザー企業がITサプライヤーに求める内容、価値も変化していく。ITサプライヤーは、ユーザー企業が変化するよりも早く自らを変革し、パートナーとしての立場を築くことが重要である」とコメントしている。