明電舎、IoT活用で安全な作業現場を目指す取り組み

明電舎は、IoTで作業者を見守り安全な作業環境を実現する、富士通の「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE 安全管理支援ソリューション」を、水処理施設や変電所など同社の様々な作業拠点約100カ所のうち10カ所に2017年6月に導入した。

安全管理支援ソリューションは、建設業や製造業などの現場において、作業者の状態を遠隔で把握することで見守り、安心して働ける職場づくりを支援するもの。作業者が装着した「バイタルセンシングバンド」で温湿度やパルス(1分当たりの心拍数)をセンシングし、センサーアルゴリズムを用いて熱ストレスレベルや身体負荷レベルを推定。推定結果が事前に設定した通知条件に該当した場合、現場責任者へアラームを通知する。

アラームを受けた現場責任者は、作業者に電話連絡を取り、体調の確認や休憩指示を行うなど、遠隔地からでも複数の作業者を同時に見守ることが可能。また経営層は、蓄積されたデータから各現場の作業者の状況を総合的に把握し働きやすい環境の中長期的な改善施策を検討できる。

日本国内の労働災害は長期的には減少傾向にあるが、2016年における死亡者数が約1千人、死傷者数が約12万人に上り、早急な対策強化が求められている(平成28年 厚生労働省資料「労働災害発生状況(確定)」より)。建設業や製造業などの作業現場は、空調設備が整っていない環境や炎天下での作業が多く、熱中症や脱水症状などの事故が多発。また、単独作業時に起きた転倒・転落事故の発見が遅れて大事に至ることもある。明電舎は、こうした労働災害の防止に向けた取り組みをより一層実効性の高いものにしていくため、富士通の安全管理支援ソリューションを導入したという。

明電舎と富士通は今後、導入からのデータを活用して、高い熱ストレスレベルを頻繁に生じる期間と生じにくい期間との比較・分析などを行い、より安全な作業現場の実現に向けた施策を検討する。