エムスリー、理研特許の人工硬膜に関する製造販売承認を発表

エムスリーは、理化学研究所(以下、理研)の基本特許を基に2016年4月に設立した子会社の多磨バイオが厚生労働省から「デュラビーム」の製造販売承認(クラスIV)を取得したことを発表した。

多磨バイオが製造販売承認を取得したデュラビームは、理研が開発した高分子樹脂を特殊加工する技術をエムスリー・シーズロケット事業が製品化した人工硬膜。現在、人工硬膜を含む人工臓器は患者の事故、手術などで損なわれた臓器の機能的代替物としてインプラントなどの医療機器として世界中で開発が進められている。しかし、臨床の現場では術後の感染症の問題、自己組織との癒着などの様々な有害事象が課題となっている。

デュラビームはこうした課題を克服すべく、専門外科医からのフィードバックを得て考案された。エムスリーによると、生体適合性が高く、従来に比べて手術時間も短く、感染症リスクが減ることが期待されるという。

多磨バイオは、理研の高分子樹脂を特殊加工する技術を実用的な基盤技術となるよう開発し、開発製品をいち早く患者へ届けることを目指している。今後は国外の市場、人工硬膜以外の人工臓器の開発も見据えている。

エムスリーはシーズ投資子会社のエムスリーアイを通じて、多磨バイオに対して事業化構想段階から共同創業者、創業インベスターとして必要資金を提供。経営陣の派遣、薬事、医師、科学、素材技術アドバイザーによる助言や業務体制の構築の全般的な経営サポートを行ってきた。

エムスリーはエムスリーアイのシーズロケット事業の取り組みを通じて、国内外の医療ベンチャー企業のエコシステムが構築できるよう支援していきたいという。