SNS活用で介護現場の業務マニュアルを更新する方法を開発

新エネルギー・産業技術総合開発機と産業技術総合研究所は、SNSを活用して業務マニュアルを更新する方法を開発した。従業員が介護現場で得た気づきをSNSで集約し、知識工学的に構造化して業務マニュアルに付加することで、マニュアル整備の課題を解決することが目的。

今回開発した方法では、まず「知識発現支援」という知識工学の技術を用いて、介護の教科書やこれまで産総研が蓄積してきたデータに基づき、どの現場でも共通的に頻出する行為をまとめ、基本構造化マニュアルを構築する。

NEDOによると、このマニュアルは文章による手順書ではなく、オントロジーによる目的指向で構造化された記述で、文章とは異なり、読み手による解釈の差異が生じにくく、記載事項の背景までが理解しやすい記述法だという。

次に、従業員間の情報共有、入居者に関する情報共有およびそれらを検索する機能を備えるビジネスSNS「DANCE3」を開発。従業員がDANCE3を日常の業務連絡などに使用することで、自然に構造化マニュアルの構築に必要な情報を収集する。一般的な知見を基に開発した基本構造化マニュアルに対して、DANCE3で得た現場の気づきや情報を付加することで、現場固有の構造化マニュアルを整備する。

NEDOではこの方法を介護現場で利用実証するために協力事業所の募集を開始した。特別養護老人ホームは30施設、介護老人保健施設は20施設、グループホームは20施設など、種別によって協力事業社の上限を設けている。産総研から基本構造化マニュアルと構造化マニュアル構築法、DANCE3システムなどの提供、構造化マニュアル構築に関する助言などを行う。実証実験を通して、現場に即したマニュアルの構築や業務効率化、リスク低減などの業務の質の向上が図られるかを検証する。

高齢化により介護ニーズが増大する中で、人材不足の問題もあり、業務の効率化が必要とされている。介護現場では効率化に加えて、事故リスクの低減やチームワークの強化、人材育成の観点から、マニュアル整備が進められている。しかし、定期的に更新することの煩わしさや、読み手が記載事項の背景まで理解しにくいこと、業務の場合分けに従って分量が膨大になってしまうなど、マニュアル化にも課題があった。