産学協働、次世代ラボが北摂の丘に誕生!

スタンフォード大学、MITやハーバード大学の周辺で生まれるイノベーションを範にしているのだろう。欧米に比較して、日本では産業界と最高学府の連携力が弱いとする意見がある――が、その見解は果たして正鵠を射ていて、危機感は今後も続くのだろうか。

当編集部に届くプレスリリースには、国内の大学発ベンチャーとそれを支援する企業や団体、あるいは産官学が共同で取り組む研究および技術開発の話が少なくない。そしてきょう、来年3月に創業100周年を迎えるNTNと大阪大学によるラボ設立の話が飛び込んできた。

次の100年に向けた基盤技術の強化と新商品による新たな領域での事業創出に取り組んでいるNTNは、大阪大学の協働研究所制度を活用し、吹田市山田丘の同大学キャンパス内に「NTN次世代協働研究所」を今月1日に設立。研究所長には大阪大学大学院工学研究科の赤松良信特任教授(元NTN執行役員)、研究副所長には大阪大学大学院の田中敏宏工学研究科長が就任するという。

両者は共同で、創薬や再生医療への適用を目的に、大阪大学のiPS由来細胞を用いた細胞積層化技術とNTNの独自技術である微細塗布装置を用いた、革新的な人工三次元細胞組織の研究開発を進めていて、同研究所では、人工知能(AI)を活用して自動車、鉄道車両、工作機械などの軸受の損傷状態や潤滑剤(グリース)の劣化状況を推定し、軸受余寿命を予測する開発や、軸受に多機能センサを付与することで軸受運転時の傾向管理や破損の未然防止を可能にする技術開発に着手する予定とのこと。
省エネルギーや自動車の低燃費化に向けた高度なシミュレーション技術を適用した軽量・コンパクトな商品開発や、開発期間の短縮に貢献する研究にも取り組んでいく構えだ。

来月13日には大阪大学で産学における技術連携強化や、次世代の人材育成を目的とした「NTN次世代協働研究所設立記念シンポジウム」の開催を予定している。