IoT(モノのインターネット)が急速に普及し、これまでインターネットなどのネットワークに接続していなかった電子デバイスが通信機能を持ち始めた。その一方で、サイバー攻撃は年々巧妙化し、IoTシステム全体への影響が懸念されている。
今回の実証実験では、IoTデバイスのマルウェア感染、そのデバイスを踏み台としたDDoS攻撃(分散サービス拒否攻撃)などの脅威からサービス、環境を守るため、IoTセキュリティ基盤を構築し、その有用性を検証する。
DDos攻撃とは、ネットワークを通じた攻撃手法の一種。標的となるコンピュータに対して複数のマシンから大量の処理負荷を与えることで、サービスを機能停止状態へ追い込む手法のことを指す。
実証実験では、NTT ComとNTTPCが構築したIoTセキュリティ基盤を活用し、IoTデバイスがネットワークに接続する際の認証や暗号化、IoTデータの管理、分析、問題が生じた際の原因の特定と対策について、以下の分野での実証・検討を行う。
(1)カーモビリティ分野(協業:タイムズレスキュー)
コネクティッドカーモデルを想定し、自家用車に対するロードサービスを提供するタイムズレスキューと実証実験を行う。タイムズレスキューが提供するサービスは、専用通信端末を取り付けた車両から通信されるデータを基に、利用者に故障や事故のリスクを通知することで走行中のトラブルを抑止するもの。オペレータが対象車両のデータを基に最適な作業者をアサインすることで、迅速なトラブル解決を図る。
(2)スマートホーム分野(TOTO)
ホームヘルスケアモデルを想定し、水まわり空間における健康管理や高齢者見守りサービスを検討しているTOTOと実証実験を行う。TOTOが検討しているサービスは、一般生活における未病状態の把握、介護を要する高齢者の状態把握をトイレなどに搭載された各種センサーから情報収集し、レポーティングすることで、健康維持を図るもの。
(3)エデュケーション分野(協業:小金井市立前原小学校)
フューチャースクールモデルを想定し、全国的にICTの活用で有名な小金井市立前原小学校と実証実験を行う。NTT Comが提供する学校教育のデジタル化を支援するプラットフォーム「まなびポケット」とIoTデバイスを用いて、児童の学習履歴や校内の環境データを収集し、それらの因果関係を把握することで効果的な学習環境を検証する。
実証実験におけるNTT Comの役割は「全体統括」「プロジェクトマネジメント」「エデュケーション分野の実証」、NTT PCの役割は「IoTセキュリティ基盤の構築、実証」「カーモビリティ分野の実証」「スマートホーム分野の実証」など。