山間部などの電力インフラ点検に威力

無人小型飛行機ドローンの活用が広がっている。近ごろ、離島や山間部など人が往来に難儀するところへの荷物輸送や、高所難所での構造物の点検作業といった、社会インフラの保全及び保守の省力化、無事故化などでドローンを実用する試みも盛んだ。

しかし電力インフラ――現在、習熟した保全作業員による目視が主流の巡視・点検において、鉄塔間の送電線は弛み(たるみ)や風による揺れなどがあるため、地図情報のみによるドローンの自動飛行では、送電線の画像のピントがずれて不鮮明になったり、撮影視野外になるなどの課題があったという。東芝デジタルソリューションズとアルパインは、昨年合意したドローンサービス事業提携の一環で、関西電力の協力を得て、ドローンによる架空送電線の自動追尾飛行と自動撮影の実証実験に成功した。

共に画像データを用いた保全業務の高度化に取り組んでいる関西電力の能力開発センター(大阪府茨木市)に設置された鉄塔間の訓練用送電線を用いて行った。今回の実験では、ドローンに搭載したセンサで送電線との距離を測定することで、電線から一定距離を保ったまま上空を自動で飛行し、鉄塔間の約200mを自動撮影した。画像には送電線が視野内に収められていて、送電線の小さな傷も判別できる鮮明さであることを確認した。

実証実験の結果は、点検場所までの移動時間や、多大な労力を要する昇塔を省き、異常個所の迅速な状態把握と保全業務全体での労力の低減、効率化に繋がるという。両社は今後、これを実用送電線などで進め、ドローンによる巡視・点検サービスの実用化を目指していく。東芝デジタルソリューションズは、東芝IoTアーキテクチャーSPINEXの特長のひとつであるアナリティクスAI(参考資料:「DiGiTAL T-SOUL」 vol.20 特集)技術を活用し、送電線の撮像から異常個所を自動検出するサービスの実現に取り組んでいくとのことだ。