第一生命、医療ビッグデータ分析で生活習慣病患者の入院可能性と日数を予測

第一生命保険と日立製作所は、医療ビッグデータを生命保険事業に活用するための共同研究によって、生活習慣病に起因する入院の可能性とその日数を予測する定量評価モデルを開発した。

個人の健康を阻害する要因には様々な要素が複合的に関連している。これまで第一生命が蓄積してきた医療ビッグデータと従来の手法を用いた分析では、その関連性を踏まえた評価に一定の限界があった。

2016年9月に始まった共同研究では、日立が保有する分析手法・ノウハウを活用して、糖尿病や血管系疾患など8大生活習慣病に起因する入院の可能性とその日数を予測する定量評価モデルを開発した。具体的には、約1,000万人の医療ビッグデータを基に、日立の医療費予測技術で培った分析ノウハウを活用して解析した。このモデルを用いることで、複雑に絡む複数の健康を阻害する要因を加味して、将来入院する可能性およびその日数を予測することが可能になる。

高血圧治療中の患者については、ある程度の健康を阻害する要因がある場合でも、健康な人の入院可能性や日数との差が小さい場合があることを確認。第一生命は該当する顧客の一部を引き受けるように基準を見直した。その結果、見直し後の約1カ月間で300人を超える新規加入者ができたという。

さらに、両社は本共同研究の第二弾として、2017年9月から「一人ひとりの健診結果の推移」や「生活習慣の変化」に着目した基礎研究に着手する。

第一生命は、今回の共同研究を通じて健康寿命の延伸という国民的課題や疾病予防・重症化予防、健康づくりの強化に寄与し、利用者の「健康サポート」を拡充することで、さらなる生命保険事業のイノベーション創出に向けて取り組む。

日立は、保険の引き受け業務など保険会社特有のデータ内容や分析手法に関する知見を深め、保険業務におけるデータサイエンススキルのさらなる向上を図る。また、共同研究第一弾の取り組みをIoT(モノのインターネット)プラットフォーム「Lumada」のユースケースとして広げ、ITサービスの開発・提供を推進する。