75万人以上の健康関連ビッグデータの活用プロジェクトが始動

筑波大学、つくばウエルネスリサーチ(以下、TWR)、NTTデータ経営研究所、NTTアドバンステクノロジは、総務省予算により日本医療研究開発機構(AMED)が実施する研究プロジェクトに採択されたことを発表した。

このプロジェクトは、世界で初めてとなる自治体の健康政策を支援する「AI(人工知能)システム(データヘルスシステム)」を開発するというもの。保健師などの自治体職員の保健指導施策立案力の強化をもたらすAIの開発が目的だ。

「AIを活用した保健指導システム研究推進事業(2017年度~2019年度)」研究プロジェクトの一環で、「自治体における保健指導の施策力に応じた最適な保健指導モデルを提示できるAIの開発研究」をテーマとしている。

筑波大学発ベンチャービジネスであるTWRが自治体と連携して構築してきた75万人以上の大規模データベース「健康関連ビッグデータ」と、筑波大学久野研究室とTWRがこれまで100以上の自治体の健康施策コンサルティングをしてきたノウハウを基盤とする。健康関連ビッグデータには、健康診断や医療レセプト、介護保険、ライフスタイルデータなどが含まれる。また、2017年4月に筑波大学に設置された人工知能科学センターとNTTグループのAI技術、見附市・常総市の現場に蓄積された経験知を融合する。

プロジェクトでは、「課題発見・原因分析支援エンジン」「保健指導モデル立案支援エンジン」を開発する。これにより、全国のどこの自治体でもエビデンスに基づいた現状分析と施策立案を行う体制を可能にする。また、自治体間の政策力の格差是正、住民の健康寿命延伸、医療費・介護費などの適正化が図られるという。

課題発見・原因分析支援エンジンは、自治体で蓄積されている健診・レセプトデータなどの健康関連ビッグデータを用いて、自治体ごとの地区別・疾病別の健康課題を察知し、その原因候補を特定する。

保健指導モデル立案支援エンジンは、課題発見・原因分析の結果を基に、課題を解決する最適な施策候補の組み合わせを自治体の施策遂行力(人材、予算力)などの多様な変数に基づき設定した優先順位に従い提示する。

代表機関である筑波大学がプロジェクト全体の統括を実施し、課題発見・原因分析支援エンジンを筑波大学人工知能科学センター・サービス工学分野が主に開発し、保健指導モデル立案支援エンジンをNTTグループが主に開発を行う。また、保健指導システム基盤、保健師などが使いやすいUIはTWRが主体となり、研究開発を行う。