100キロワット級の海流発電の実証試験を完了 NEDOとIHI

IHIと新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、2017年8月に鹿児島県口之島沖で100キロワット規模の海流発電としては世界初となる水中浮遊式海流発電システムの実証試験を完了した。

海洋の様々なエネルギー(海流・潮流・波力・海洋温度差など)による発電技術は、新たな再生可能エネルギーとして世界的に期待されている。特に、日本の沿岸付近には世界的にも有数のエネルギーを持つ黒潮などの強い海流が年間を通じて安定して流れている。

NEDOは、2011年度から海流エネルギー発電の研究開発に取り組んできた。NEDOとIHIは海流発電の技術的な開発を完了し、100キロワット級実証機「かいりゅう」をIHI横浜事業所で完成させ、2017年8月に鹿児島県十島村口之島沖の黒潮海域でかいりゅうの発電性能や姿勢制御システムの検証などの実証試験を完了した。

7月25日から7日間、野間岬(鹿児島県南さつま市)沖の甑(こしき)海峡において、かいりゅうを曳航することで黒潮に模した水流を発生させ、海中での挙動の確認を行う曳航試験を実施。定格流速1.5メートル/秒で100キロワットの発電出力を確認した。

また、8月12日から7日間、内閣府総合海洋政策推進事務局の海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定された鹿児島県十島村口之島沖の黒潮海域で実証試験を実施。実証試験では、水深約100メートルの黒潮海域でかいりゅうの設置・撤去工事の施工・検証を行った。

発電に関しては、実際の黒潮の流れの中で水深約30~50メートルに浮遊させたかいりゅうを自律制御システムで姿勢や深度を制御しながら、最大30キロワットの発電出力を確認。発電性能や浮体の安定性の検証などの試験を完了した。

今回の実証試験で、かいりゅうが想定どおりの性能を発揮することを確認。また、発電性能だけでなく海流特性や設置・撤去工事手法の精査などを含め、今後の実用化に向けて必要な実海域での試験データを取得したという。